東京を考える「震災と防災」

パフォーマンスに終始してきた東京都防災訓練

 東日本大震災から9月で半年が経過しました。いまだ、復興のめどが立っておらず、生活と健康を脅かす深刻な問題となっています。東京でも震度5強〜5弱を観測し、7人の犠牲を出し、建物損壊や多くの帰宅困難者、停電など大きな被害に見舞われました。
 1千3百万人がくらし、政治、経済、文化が集中する東京で、首都直下型大地震が発生した場合、過去のどの地震にも及ばない巨大都市災害になることが指摘されています。
 東京都防災会議も、木造密集地帯の建造物倒壊と火災、液状化による被害、高層ビルでのエレベーター閉じ込めなど、深刻な被害を想定していますが、石原都政のもと、予防なき対策に偏重した結果、きわめて不十分な防災体制となっています。
 東京都は今年一一月に防災指針を策定し、来年、東京都地域防災計画を改定する予定です。東京で働く私たちの命を守り抜く立場から、東京都の震災対策の現状と課題と考えてみましょう。


  木造密集地 耐震化・不燃化に遅れ
急務の耐震・不燃化。しかし石原都政は住民まかせ。

 東京都は、直下型地震が起きた場合、死者6千人以上、建物全壊47万棟と想定。特に深刻なのは、木造家屋の倒壊と火災です。
 狭い土地に、小規模・老朽化した住宅が集中する「木造住宅密集地区」。消防車が入れない路地が目立ちます。東京都が5年間(06〜10年度)で木造耐震助成したのはわずか301件。住宅の耐震化は自己責任が原則として、対象地域を限定しているからです。
 消防体制も貧弱です。人口10万人当たりの消防ポンプ車は28.2台(全国平均73.6台)。これでは、全都の火災に対応できません。



   都政の責任 浪費をやめ、防災対策に

 
     防災対策には、「予防・応急・復旧・復興」の四段階がありますが、東京都地域防災計画の七割は「応急」が占め、災害を未然に防ぐ「予防」が極めて脆弱です。

 石原都政が、「震災予防条例」を骨抜きにし、対策を住民まかせにした結果、東日本大震災で、防災計画が十分に機能しなかったことを都は猛省すべきです。

 都民のいのちと安全を守ることは、都政の責任です。大型開発と五輪招致の浪費をやめ、震災復興と防災対策に回すことが急務です。




  液状化・高層ビル 全都的調査・対策を

 東日本大震災では、一一区で液状化が発生。江戸川区清新町では全域で被害。江東区・都営辰巳団地でも断水や保育園などの園庭に亀裂が生じました。再建の支援とともに、全都の地歴調査と対策が必要です。
 高層ビル対策も急務です。国と石原都政による規制緩和の結果、11年間(00〜10年度)で221件の超高層ビルが建設されましたが、天井や壁などの安全性、エレベーター閉じ込め事故や断水への対策は、大震災後も業者・住民まかせにされたままです。

震災地−−アスベスト対策不十分 9.3シンポで実態報告
アスベストから被災地とボランティアをまもろう

 大震災とアスベスト対策を考えるシンポジウムが3日、全労連ホールで開催され、100人が参加しました。主催は、働くもののいのちと健康を守る全国センター。
 記念講演した森裕之・立命館大学教授は、阪神・淡路大震災で2人の解体作業者が中皮腫で亡くなっていることを冒頭に紹介し、当時の対策の問題点として、
 @対策を吹き付けアスベストに限定
 Aにわか解体業者が横行し、技術が未熟
 B解体撤去作業状況が、行政で適切に把握されず、防塵マスクの着用などの徹底が不十分
だったことを挙げました。

 森氏は、東日本大震災の被災地でも同様に起こっていることを指摘し、アスベスト含有建材の廃棄物対策や、設計図に基づいた対策を強く訴えました。さらに、災害廃棄物の処理指針をアスベストにも適用すれば、その処理コストを国が負担することができ、自治体は積極的に被害防止を行えることを指摘しました。

 記念講演後、岩手県建設労働組合・斎藤徳重会長が、「今後、地域住民に被害がしわ寄せにされないよう、運動を進めたい」と決意を表明し、被災地住民やボランティアへの対策を管理外とさせず、防塵マスクの普及徹底など、行政に強く働きかけることを確認しあいました。