■第186回 2020/5/15

   オルグの現場から 152
  「労働者の申出」は権利行使を妨げてしまう

◆育児・介護休業法は、男女労働者を対象として子どもが満1歳(保育所が見つからない場合などは2歳)までの育児休業を定めている。また、満3歳になるまでは短時間勤務制度を設けることが事業主に義務づけられており、さらに小学校入学までは所定外労働の制限等の措置を取ることになっている。いずれも「労働者の申出」が条件であるが。◆相談者の女性は15年間勤務。子どもは2人で、育児休業後3歳までの時短勤務をしていた。子どもが3歳になるため就学までの残業の免除を申請。「早番」のシフトのみ、「遅番」はできないことを上司に告げた。すると、これからは遅番もやってもらうつもりだった。そんなことが認められるか、自分で社員全員に確認をとれと言われたという。◆これはもちろん育児休業に伴うハラスメントである。しかし、頻繁に改正される法律を熟知できている使用者は少ない。都の労働相談情報センターや東京労働局雇用環境・均等部に相談して、役所のあっせんとして会社に助言してもらい解決することを勧めた。また、個人加盟の労働組合に加入して交渉してもらう方法もあると伝えた。◆相談者の女性は、働き続けたいが、そんなことをしたら職場に居づらくなるのではと言う。育児休業は、取得者への給付金・社会保険料の免除などがあるだけで、職場の負担は会社まかせ。同僚は仕事が増えてしぶしぶ残業し、大半の非正規労働者は事実上、取得の権利すらない。男性の育児休業の取得率の低さがジェンダー問題とされているが、法律の「労働者の申出」という条件は今回のような苦悩を本人にもたらし、権利行使を妨げるジェンダーを超えたハードルなのだ。佐伯芳子(東京地評労働相談員)

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部内資料:東京地評労働相談弁護団(報告書式等有)