■第178回 2019/8/15

   オルグの現場から 144
  声を上げなければ変わらない

◆Aさんは、保育園で正規職員(看護師)として勤務していた。入職直後に園長から、看護師としての専門性を発揮しないこと、保護者と接触しないことを求められた。園長の行為は、仕事の取り上げ、威圧的な言辞、嫌がらせ行為、職員からの分離など次第にエスカレートし、精神的に追い詰められ組合に相談してきた。◆Aさんは既に出勤不能の状態にあった。聞き取りの過程で、雇用契約書を取り交わさず、労働条件の提示もなく、就業規則も周知されていないことがわかった。組合では、団体交渉で法令違反とパワハラの事実関係を具体的に指摘するとともに、積み上げてきた社会福祉法人としての信用を瓦解させないためにも、法令順守と再発防止、Aさんの救済を早期に図るべきと求めた。◆園長は当初「指導はしたが、パワハラはない」と、事実を否定していた。しかし、組合側は次々と事実を突きつけた。さらに、過去に少なくとも6人が園長によるパワハラにより退職を余儀なくされたこと。一部の人についてはまだ損害賠償請求が可能であることなど、独自の調査で得た事実を伝えた。結果1回の交渉で、園長が事実を認め、園を運営する法人の理事長も法令順守と再発防止を約束した。Aさんの件は、1年分の給与相当額を解決金として支払うことで円満解決となった。◆その後、法人では理事長が職員会議でパワハラ撲滅の決意を語り、基本計画やマニュアルの作成、研修など、再発防止に取り組み始めた。Aさんの残した事実と組合の説得的交渉が功を奏した。Aさんの声が、理事長に職場再生のチャンスを与えた。声を上げなければ変わらない。北村博昭(CU三多摩協議会書記次長)

すぐに役立つ元気の出る労働相談1問1答(冊子紹介)
部内資料:東京地評労働相談弁護団(報告書式等有)