■第177回 2019/7/15

   オルグの現場から 143
  シルバー業務〜委任契約を隠れ蓑にしたケース

◆AさんはB病院で看護助手として働きながら、准看護師の資格を得るため、B病院の資金貸付制度を利用して看護学校で学び、無事卒業した。Aさんはさらに正看護師の資格を得るため高等看護学校進学を希望したが、病院からは1年間フルタイムで仕事に専念し、その後進学するよう求められた。合意が得られないままAさんは受験し合格。その結果、進学断念か退職かを求められ、退職なら「奨学金貸与契約書」の定めにより、貸付金120万円の全額を一括返済するよう迫られて組合に相談してきた。◆契約書には「資格取得後2年間B病院で勤務した場合には返還を免除する」とあった。組合は、奨学金の貸与が@実質的に使用者が業務に関連して技能者育成、労働者確保のため一定期間の勤務を約束させることは労働基準法16条違反A貸付金返還規定が経済的足止め策として実質的に就労を強制すると認められるときは労基法14条違反で無効、の2点から返還義務はないとの立場で団体交渉に臨んだ。◆病院側の代理弁護士、顧問社労士などは貸与契約は合意に基づくものであり、違法性はなく全額返還は当然と強く主張してきた。一方、理事長は「地域医療の向上と職員の資格取得の支援が目的」と、労基法16条に抵触しうる発言をした。◆組合側は、理事長の発言や「奨学金貸与契約書」の内容、Aさんと病院との話し合いの経過(録音等)から、労基法16、14条違反にあたると主張。しかし、裁判での決着はAさんも望んでいないため、話し合いによる円満解決を図るよう求めた。その後、代理人弁護士との折衝で、最終的にAさんが3割分を返済することで合意解決した。(北村博昭CU三多摩協議会書記次長)

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部内資料:東京地評労働相談弁護団(報告書式等有)