■第175回 2019/5/15

   オルグの現場から 141
  巧妙な「労働者隠し」〜新たな法整備が必要〜

◆ピアノ教師のAさんは、10年以上講師として勤めていた音楽教室に契約打ち切りを通告され、組合に相談に来た。契約の解約理由は、生徒の退会率が平均より高い、教室側指定の資格を取得しないというものだった。◆組合は、契約の経緯や内容、仕事の指示関係、賃金の計算方法など資料の分析を行った。Aさんと教室との契約は、形式的には委任契約だが、十分、労働者と主張できると判断し団体交渉を申し入れた。◆教室側は当初、委任契約でありAさんは労働者ではないので、団体交渉には応じられないと回答。しかし、組合の再三の要求の結果、「話し合い」には応じると修正。◆組合はAさんの働き方について、勤務時間や場所を教室から指示されており、単に労務を提供しているにすぎない。精神疾患の生徒の担当を荷が重いと断ったにもかかわらず認められなかった等諾否の自由がない。賃金は労務の対償、賃金単価の基となるグレードも、教室が作成した評価基準に基づいて教室が一方的に決定した。契約書は処遇の変更に対応しておらず実態と異なる等々、労働者であると主張。グレード評価は高いのに、生徒の退会率というAさんの事情だけで判断できない理由を突然持ち出して解雇(契約解除)することは、恣意的で社会的相当性もない。Aさんの強い決意も伝え、訴訟も視野に社会的支持を獲得する方法を選ぶと迫った。◆その結果、3回の交渉で教室側が6カ月分の賃金相当額+αを支払うという、Aさんの意向や組合の主張に沿った解決となった。相手方弁護士の紳士的な対応も幸いした。巧妙な「労働者隠し」が進む中で、新たな法整備が必要と認識した案件だった。北村博昭(CU三多摩協議会書記次長)

すぐに役立つ元気の出る労働相談1問1答(冊子紹介)
部内資料:東京地評労働相談弁護団(報告書式等有)