■第157回 2017/8/15

   オルグの現場から 125
    本来の目的に沿った最低賃金に

 最近、労働相談で増えているのが「基本給を労働時間で割ると最賃違反」という事例。◆最低賃金は、労働者・使用者・公益代表の三者による中央最低賃金審議会及び地方最低賃金審議会の答申を踏まえて毎年改定されます。7月25日、今年度の地域別最賃額改定の目安が答申されました。最低賃金は、最低賃金法第一条で「賃金の低廉な労働者について賃金の最低額を保障することにより、労働条件の改善を図り、もって労働者の生活の安定、労働力の質的向上及び事業の公正な競争の確保に資するとともに国民経済の健全な発展に寄与すること」を目的としています。賃金額決定に考慮すべき要件は、@生計費A類似の労働者の賃金B事業所の支払能力。かつ、生計費は健康で文化的な最低限度の生活を営むことが出来なくてはなりません。◆しかし今回の答申額は、健康で文化的な生活とはほど遠く、全国の労働者の平均時給は1000円超なのに、なぜいつまでも700円〜900円代なのか。使用者側も業績悪化への懸念ばかり、労働者の生活実態には一言も触れません。しかも、GDP成長率が三%に達しない場合はその状況に合わせて最賃引き上げ額を議論すべきとの発言もしています。◆国際的な最低賃金基準で、日本も批准するILO131号は、最低賃金水準決定の考慮すべき要素を「労働者と家族の必要であって国内の一般的賃金水準、生計費、社会保障給付及び他の社会的集団の相対的生活水準を考慮」「経済的要素」をあげています。◆支払能力論を打破し、最低賃金1000円、1500百円を実現することこそ本来の最低賃金の目的を達成する道です。池田吉人(東京地評労働相談センター相談員)

すぐに役立つ元気の出る労働相談1問1答(冊子紹介)
部内資料:東京地評労働相談弁護団(報告書式等有)