■第153回 2017/4/15

   オルグの現場から 120
    真に労使対等の雇用契約を!

 厚労省が昨年発表した「民事上の個別労働紛争相談」は29万7577件。うち労働契約に係わる相談は103743件(全体の21・4%)と、「パワハラ、嫌がらせ」に次ぐ件数です。◆労働契約法によると、雇用契約は「労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて労働者及び使用者が合意することによって成立する」(六条)。しかし、労働者と使用者との合意をどう作るかは記載されておらず、とりわけ中小零細企業では口頭による雇用契約もあります。◆口頭による雇用契約は、言葉による「合意」で曖昧なためトラブルも生じます。欧米諸国では概ねどの国でも書面によります。◆内閣府の平成25年報告書(「労働契約の特徴とそれを取り巻く社会保障など諸基盤に関する国際比較について」)では、日本と欧米諸国の雇用契約の考え方や手続きを比較。欧米諸国は「職務や勤務場所等は、個別の雇用契約で定められ、賃金や労働時間など労働条件は、通常、労働組合が使用者団体と団体交渉して締結する労働協約で定められている」。一方、日本は「本来であれば雇用契約で定められるべき事項の大半が就業規則に委ねられ」「雇用契約の締結は就業規則に書かれた事項を一括して合意したとみなされ、これに基づいて労働条件や人事異動の弾力性や業務命令権の広範さが承認されるという仕組み」。◆つまり、欧米諸国の雇用契約は「労使の対等平等」が原則で、それに基づく手続きである一方、日本は労使対等の原則はあるものの、使用者がつくる労働条件に労働者が合意する、使用者主体の雇用契約と言っても過言ではありません。池田吉人(東京地評労働相談センター相談員)

すぐに役立つ元気の出る労働相談1問1答(冊子紹介)
部内資料:東京地評労働相談弁護団(報告書式等有)