■第145回 2016/7/15

   オルグの現場から 112
    経営者としての自覚が問われる

 Hさんは立ち上げたばかりの、衣料品の通信販売会社を解雇されました。◆採用の際、社長(三二歳の女性)との面接で「衣料品販売店の経験はあるが、通販の経験はない」ということを正直に話したうえで採用されました。二人で韓国に行き仕入れをしたりもしていました。ところが開店間もなく、社長は「売り上げが伸びない。このままでは会社はつぶれてしまう」などと言いだしました。社長はWEB関連業務を兼業していて「忙しい・時間が無い」と言って、Hさんがアドバイスを求めても、何もしてくれませんでした。そして三か月後のある日、出勤するとHさんは突然解雇されました。◆ところが離職票には「自己都合退職」とされ、納得がいかないHさんは「会社都合」にして欲しいと社長に要求しましたが拒否されました。そのため労基署や法テラス等に相談に行き、最終的に労働組合に相談に来られたのでした。◆二回目の団体交渉ではHさんが中心に発言しました。採用から解雇に至る経緯や、社長が解雇後LINEで「解雇理由書は在職中に出すもの」などと解雇事実を認めた書き込みをしていたことなどを整然と話し、「社長は経営者としての自覚が無さ過ぎる」と厳しく批判しましたが、社長は何一つ反論できませんでした。◆結局、都労委の「あっせん」で解決しました。「会社都合による退職」を明記し、ほぼ要求に近い金額で合意する事が出来ました。あっせん員の話では、Hさんより数歳年下の若い社長は最後に「大変勉強になりました」と言っていたそうですが、若い起業家が同じ誤ちを繰り返さないように願っています。(地域労組せたがや書記次長 寺島 やえ)

すぐに役立つ元気の出る労働相談1問1答(冊子紹介)
部内資料:東京地評労働相談弁護団(報告書式等有)