■第141回 2016/3/15

   オルグの現場から 108
     後味の悪い事件も

 「毎日朝7時30分から22時頃まで勤務、しかも残業代が1円も支給されない」との相談。「タイムカードの写しはないが、毎日手帳に始業時間と就業時間、休憩時間を記載してある」とのことだったので、手帳を預かりエクセルで集計して団体交渉に臨みました。◆会社は、労働契約書に記載のない「1ヶ月単位の変形労働時間制」と「固定残業制」を主張してきましたが、法定外労働時間の割増賃金を支払っていませんでした。しかも、36協定も未締結。また、顧客管理手当として支給しているものが固定残業代と主張しましたが、その手当を引いて労働時間で割ると、最低賃金を下回ることを指摘し、会社の主張を論破しました。◆しかし会社は、当月の賃金から基本給を上げて最低賃金を上回る額にし、36協定も締結させました。更に1ヶ月単位の変形労働時間制の総時間の修正(就業規則の変更)を一方的に行いました。就業規則も今まで周知していませんでしたが、事務所の壁に掛けるようになりました。◆数回の団交で、会社から出勤していない日も出勤したことになっているとの指摘を受け、当該に「間違いはないかと」何度も確認、「今度は間違いがありません」との事でしたので、労働審判に申立を起こしました。◆就業規則を周知していなかった、36協定を締結せずに残業をさせていた、労働契約書には変形労働時間制と固定残業代の記載はないとの主張を行い、審判委員会の心証を取っていました。しかし、弾劾証拠(証明力を低下させる証拠のこと)で「出勤していない日も出勤したことになっている」と指摘され、請求の半額程度で和解した後味の悪い事件でした。(CU東京江戸川支部執行委員 三枝繁一)

すぐに役立つ元気の出る労働相談1問1答(冊子紹介)
部内資料:東京地評労働相談弁護団(報告書式等有)