■第132回 2015/04/15

   オルグの現場から 99
     運動での解決が組合の醍醐味

 渋谷区にあったK出版(後に倒産)は、外注費不払いの常習犯でした。一等地にオフィスを構えながら、原稿料も撮影料も印刷代も払わず、賃金も遅配していました。
不払いに遭って困っていたカメラマンのもと子さん(仮名)は、2ちゃんねるの関連スレッドで「出版労連に行ってごらん」という書き込みを見つけ、藁をもつかむ思いで電話。相談に来てすぐ組合に加入しました。
団交を拒否するなどK出版の対応が悪かったため、取次にある売掛を、本人申し立てで仮差押。本人訴訟も勝訴しますが、判決にも従いません。会社に行くと一一〇番。駆けつけた警官も「どう考えても組合が正しいですね」と言っていました。
私たちは登記簿をあげ関係者から話を聞いて関連会社をつきとめ、同社や役員宅に行き協力を要請。ホームページで事案の概要を公表しました。
居丈高だった社長も根を上げて団交に応じ、全額払わせることができました。法律だけでは無理なことが「運動の力」でできるのが組合の醍醐味だと、改めて感じました。
もと子さんは「判決が出ても払ってもらえず、会社などに行ったんですが怒鳴られたり警察を呼ばれたり。ずっと組合の人が励ましてくれ、組合の力がなければ回収は無理だったと感謝しています」と振り返ります。彼女はいま、相談員として活躍中です。
出版労連では二〇一〇年に労働相談室を設置。数十人の相談員と二つの個人加盟組合を中心に、相談の対応にあたっています。もと子さんのような「雇用されていない働き手」の相談にのっているのも特徴です。出版の相談現場から見える光景を、連載でお伝えします。(出版労連書記次長・北健一)

すぐに役立つ元気の出る労働相談1問1答(冊子紹介)
部内資料:東京地評労働相談弁護団(報告書式等有)