■第111回 2013/5/15

   オルグの現場から 78
     トライアル雇用

最近、時々トライアル雇用の報道がされています。相談がありましたので、経験を報告します。

◆港区のある大企業でトライアル雇用された方からの相談。正社員になれる条件のトライアル雇用に応募して採用されたが、三ヶ月の試用期間満了で雇い止め。大企業で安定していると思い、他社の内定を断って応募したのにあまりにもひどい。多少ミスはあったが、雇い止めになるほどの理由はない。むしろ理由を説明するといって別の部屋で恫喝、パワハラを繰り返された。会社に責任を取らせたい。◆雇い止め撤回と職場復帰を要求した団体交渉で、会社は「トライアル雇用は試用期間ではなく、『試行期間』で働き方を見て採用するかどうかを決める制度。不採用の理由の明記は義務付けられておらず、会社として何ら落ち度がない」と主張。何度か団交をしましたが、最終的には退職、金銭で解決しました。◆この相談を通じてトライアル雇用の制度を知ることができました。この制度は、身体障害者など就職が困難な方を対象にした「雇用促進」制度で、採用した企業には一定の奨励金が支給されます。問題は試行期間(最長三ヶ月)を経ると特別な理由がない限り本採用される、とも解釈できますが、実際には試行期間後は企業の裁量で本採用が決められ、不採用の理由の明記や説明義務がありません。また、企業に支給された奨励金も不採用にしたからといって返済しなくてもよく、悪用される可能性も高いものです。こうした問題点を解決しないと雇用の拡大にはつながりません。本採用を前提とした制度の確立、少なくとも納得いく理由を説明する義務を課すべきではないか、とこの相談を通して強く感じました。(港区労連・橋孝)


すぐに役立つ元気の出る労働相談1問1答(冊子紹介)
部内資料:東京地評労働相談弁護団(報告書式等有)