■第105回 2012/10/15

   オルグの現場から 72
     傷病手当金

 ◆二年程前の事例であるが、ワインの輸入会社の女性から、社長(帰化した中国人女性)の乱暴な言葉のイジメ(「死ね」などと言われるのは日常茶飯事)、長時間残業(未払い)などで体調を崩していると相談があった。◆九時三〇分始業の一八時三〇分終業の実働八時間だが、残業は平均して毎日二一時頃まであり、毎週金曜日は「試飲会」で二三時まで在社しなければならない。二〇〇九年の八月一日に入社で、社会保険は加入している。翌二〇一〇年の一月、うつ病にかかり、就労が困難になってしまった。◆傷病手当金の受給資格は健保加入後半年。精神科の医師を紹介するとともに、会社に組合加入を通告した。就労がきついときは欠勤届を出し、何とか傷病手当金の受給資格の勤続半年にこぎつけ、傷病手当を申請した。会社は手続きを渋ったが、代理人の弁護士を説得し、手続きを行わせるとともに、残業代未払いも含め金銭解決で七月に解決した。◆労働相談には、精神的ダメージを受けて相談に来る労働者は多い。就労できなくなると、病気欠勤となり収入の道が途端に閉ざされる。企業によっては、病気欠勤後、暫くして休職扱いとし、見舞金として社内の共済制度で六割〜一〇割の賃金相当額を補償するところもある。◆しかし、中小零細企業にはこのような制度がないところが多い。そのため傷病手当金の制度を利用することになる。加えて、国民健保にもこの制度がないので、国保加入の場合は生活保護制度の活用も考えなければならない。また、精神科医とのネットワークも必要だ。生活対策としても傷病手当金制度は、有効な制度と言える。
(東京地評労働相談専門員 川村好正)

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部内資料:東京地評労働相談弁護団(報告書式等有)