■第101回 2012/6/15

   オルグの現場から 68
     偽装派遣

◆派遣会社の女性正社員が、派遣先会社の閑散期に一二日間の有給休暇をとったところ解雇された。指揮命令は現場の別会社の社員が行っているという典型的な派遣労働だった。◆会社としては「代替要員が見つからないから時期変更権を行使」し、これを守らなかったから解雇したという。◆一方で、総務部長は団交で「業務委託を受けて派遣している」ということを平然として述べた。後に調べたところ、この会社は五次下請けだった。絵に描いたような「偽装派遣」。◆これは、法律違反なので、東京労働局に通報すると「認可取り消し」になると話した。会社側弁護士は社長を説得、解決しようとしたが、社長は一〇〇人の社員を路頭に迷わすつもりか、そんな脅迫には屈しない、解雇は撤回しない、解決金もださない、という居直りだった。◆やむなく組合は仮処分の申立を行った。裁判所は即解決として組合の言い分通りの解決金を支払へと提示、社長もやむなく応じたが分割払いとなった。◆一二日間は長期休暇といえるか、二日前の時期変更権は有効かなどの問題は未解明だったが、解雇は重すぎるという判断だったようだ。◆派遣業界は中間業者が幾重にも入り込み、あるいは大手が下請けをつくり、派遣がアメーバーのように拡がっている。様々な形で、中間搾取を生み出し、労働者はいっそうの貧困に追いやられている。その上、理不尽な扱いにも声を上げることすら出来ない。声を上げた段階で、次の仕事がなくなるからだ。◆彼女は、勇気出して権利を主張して組合に結集して勝った。泣き寝入りはしない、これが働く者の鉄則だ。
(東京地評労働相談専門員 深谷静雄)

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部内資料:東京地評労働相談弁護団(報告書式等有)