■第99回 2012/4/15

   オルグの現場から 66
     解決金

◆3月は解雇、配転や賃金カットなどが起こる時期だが、同時に争議解決の時期でもある。私も3件の事件の解決に立ち会った。解決に当たって、バックペイや退職金相当額を一括解決金として扱うのが常識である。当人にとってもメリットがあることであり、会社は源泉控除せず、慰謝料などで経理処理するかたちで便宜を計る。◆以前に、一人争議で解決金一億円を越えた事件があったが、慎重を期して協定書には金額を書かず、覚書にし、組合口座への振り込みとした。◆ところが、今回は一番高額で一桁違う額の一件にかぎり、本人が「私のお金なのになぜ組合に振り込むのか」と一度は了解したことに異議をいってきた。会社側弁護士も苦笑いして当人口座に振り込むことを了解した。◆さらに、額はやはり納得できないと言い出したり、あらたな要求を言い出す状況となった。また、HPで調べると解決金でも税金がかかる場合があると書いてある、税金がかかったら会社が払えといいだした。◆組合はそういうことはできない。税金等の関係もあり、「解決金」ということで、組合振込で処理することでどうかと言ったが、これに納得せず、結局解決金を抹消してバックペイと明記することとなった。会社は当然源泉控除することとなった。決着が半月は長引いた感じである。◆当人にとっては自分の権利を金に換算されたことに感情的に納得できないところが残ったのだろう。飛び込みの事件であり、共に長くたたかうという共通体験をもたないままの交渉による解決だったために、組合を信頼しきれないところがあったのだろう。最後の詰めは本当にむずかしい。

                           (東京地評労働相談専門員 深谷静雄)

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部内資料:東京地評労働相談弁護団(報告書式等有)