■第88回 2011/04/15

   オルグの現場から 54
     経営方針のない会社の争議

◆日本の印刷業界を牽引する大日本印刷社長の報酬は七億七八〇〇万円と高額だが、もう一つ注目すべきは、報酬総額を営業利益で割った数値のうち、本業で稼いだ金の何%が役員報酬に回っているか。数値は二・九六(トヨタ〇・九七、小糸製作所三・〇七、日産〇・五四、凸版二・七九)と良好だ。その子会社で請負契約として働いていた全印総連組合員のHさんの時給二一〇〇円(別の関連子会社が間に入り偽装請負・中間搾取をされて手取り一〇六〇円しかなかったとして損害賠償を請求して現在裁判中)とは大きな格差がある。◆今回の相談者は、一〇人規模の印刷会社のデザイナーと営業マン二人。会社は多額の借金があり返せるかどうかわからない、自己破産になる可能性もあるが、会社から何ら説明がない。会社としての管理が行われていない、顧客も各営業マン任せ。就業規則もない。◆二年連続で給料が一〇%ずつ減給され、賞与は五万円。突然昨年一二月、一方的に「歩合給(配分は利益の三〇%)を導入する」として営業マン各個人に署名捺印させた。営業マンが努力して売り上げを伸ばした所、歩合給の導入を撤回したという。会社の方針のなさに不信感が深まったようだ。また、休日出勤や時間外手当ももらっていないので請求したい。◆時間外手当の不払いなどは二年間の遡及権があるので勤務記録など資料の作成と、交渉で経営資料の提出を求めた方が良いとアドバイス。また組合に加入して一緒に団体交渉をと組合の規約や資料を渡し説明した。後日、交渉を有利に進めたいと、三人が加入する事になった。近日中に団体交渉を行う準備をしている。◆東日本震災で印刷は直接的な被害がなかった所も紙やインクなどの資材が滞り、顧客への対応に追われる企業が多く出た。また、新聞や週刊誌の広告が減りページ建てが激変となった。更に決算期が終わった事により今まで以上に労働相談が増える事が予測される。


(全印総連・東京地連・東京地評オルグ 小原正幸)


すぐに役立つ元気の出る労働相談1問1答(冊子紹介)
部内資料:東京地評労働相談弁護団(報告書式等有)