■第77回 2010/04/15

   オルグの現場から 43
     倒産の兆候を見逃すな

◆昨年の出版業の倒産件数は七二件と一九九二年の六七件を上回り過去最多となりました(東京商工リサーチ)。従業員数五人未満の企業が六割以上と小規模企業の倒産が増大しています。出版労連の労働相談件数を見ても、倒産・経営問題一〇件、賃金未払い四七件と経営危機を背景とする相談が断トツです。◆多くの中小企業では決算書は開示されていません。しかし、社内にいれば情報収集できることはたくさんあります。追加融資を頻繁に要請した。メインバンクが変わった。親会社から役員が来た。知らない人物が会社に出入りするようになった。手形をジャンプした。そんな兆候を見逃さない事が大切です。◆労働者はお人好しです。会社をつぶさないようにするのならと、親から借金をして運転資金を提供した、生命保険を担保に借金をして会社に提供した、ガン保険の保険金を貸した。これらは実際にあった事例です。当然倒産後には労働債権とはならず、どの事例も一般債権として回収することができませんでした。◆未払い賃金の立替払い制度も上限金額があります。退職金と定期賃金以外は立替払いの対象になりませんから、携帯電話代などは経費として立替の対象にはなりませんでした。◆解雇争議などと違い倒産争議の場合、自主再建など一部の事例を除いて復職先がありません。これまでの事例を見ても「もっと早く相談に来れば」というのが圧倒的です。早期に対応すれば、倒産が避けられたかは検証のしようがありませんが、少なくとも時期を遅らせることができたとか、回収できる労働債権を増やせたのではといった思いがあります。いつも残念な思いでいっぱいになります。

(出版労連、住田治人)