■第69回 2009/07/15

   オルグの現場から 35
    地に落ちた経営モラル その1

▼最近労働相談を通じて、つくづく感じていることがある。それは『地に落ちた経営者のモラル』だ。その原因となっているのが一九九五年の日経連(当時)の「新時代の日本的経営」である。これにより「雇用柔軟型」の非正規労働者が急増し日本経済を担ってきた。それが昨年秋以降、大企業を中心に不況を理由に大量解雇されている。その悪影響はいまや中小企業の経営者にも波及している▼ある建築設計事務所でパートとして働いていたAさんは、突然時給一五〇〇円から一〇〇〇円に切り下げられ、労働時間も一日七時間から五時間にされてしまった。「これでは生活できない」と労働組合に加入し団体交渉を要求したところ、その日の夕方に解雇されてしまい現在労働審判でたたかっている。組合の団交要求に対して社長は「もう解雇したんだから関係ない」▼二〇人ほどのソフトハウスでプログラマーとして働いていた二三歳のB君は、派遣先の仕事が一段落して自社に戻ってきた際、自宅待機とされ「健康保険証をいったん返却してくれ」と社長から言われた。「ゼロ歳児を抱えているので困ります」と言ったところ「解雇する!出てゆけ」とパワハラ解雇された。組合に加入し、要求書や抗議要求書を送付すると社長は『受取り拒絶』。二ヵ所の事務所と社長の自宅に電話すると、全ての電話を電源から切ってしまう有様。現在仮処分で争っているが、このパワハラ社長は公権力の裁判官の前では借りてきた猫のようだ▼こうした事例を経験すると「人材こそ最も大切な経営資源」であることを労働組合が経営者に教育しなければならないと思う。今や経営者のモラル向上が緊急の課題だ。

                       (三多摩労連、坂ノ下征稔)


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部内資料:東京地評労働相談弁護団(報告書式等有)