■第67回 2009/05/21

   オルグの現場から 33
        ある事例

 ▼数多くの労働相談の中には、ちょっとこれは?と思う事例もあります。ある女性から、「ホテルの食器洗浄のパートをしているが、職場の中で〈ヤクザ〉とか〈チンピラ〉〈気がふれている〉などと罵声を浴びせられて、抗議すると警備員までやってきて出て行けと言わんばかりで、職場から帰った」という相談を受けました。▼彼女の興奮した話し方に不安は覚えながらも、会社に対して交渉を申し入れ、団体交渉を行いました。会社側は、彼女の主張について細かに文書で聞き取り調査した結果を提出。それによれば、『暴言の事実は確認できなかった』というものでした。しかし、『暴言の事実がない』ことも確認できないわけで話し合いの結果、解決金で円満に退職。▼ここまでならば、一般的な労働相談の解決事例ですが、和解してわずか二週間後、また彼女から電話、別のスーパーにパートとして働いていて、そこでもホテルとまったく同じような事を言われパワハラにあっているというのです。別な職場でまったく同じ言葉を言われるのは?と疑念もあり、スーパーの店長に面会しました。「そんなことはありません。逆にいつも職場でぶつぶつ一人ごとを話している。試用期間中だったので満了一ヶ月前に辞めてもらうことにした」と店長。労働組合としても、解雇を争う解決は無理だと話しましたが、彼女は納得いかないとのことでしたので、この問題は打ち切りとしました。▼なぜ彼女がこうしたことを繰り返すのか事情はわかりません。母親と二人暮らしで彼女のパート賃金で家計を支えているので気の毒ですが、労働相談の中にはこのような事例もあるのだと考えさせられました。

                               (江東区労連 中村元)