■第65回 2009/03/15

 オルグの現場から 31
     最初のひとこと

ある精密医療機器メーカーで検査の仕事をしている女性からの相談です。異動になって上司が替わってから、まともに仕事を教えてくれないばかりか検査データの改ざんまで指示される。このようなことに耐えられず、社長も含めて話し合いをもったが、社長から「性格が悪い」と言われ、ショックを受けて出勤できなくなってしまった。病院で「うつ病」と診断され、診断書と病欠願いを出して休んでいる最中に「諭旨解雇通知」を受け取ったというものでした。理由は「遅刻が多い」「業務に支障をきたした」など、体調不良での病欠届を仮病扱いするひどいものでした。

▼本人の希望もあり、組合で団体交渉を申入れ、団交が行われました。しかし会社側の出席者は、判断のできない専務。なんとか話し合いでの解決を模索しましたが、社長は「解雇は正当、ビタ一文払わない」の一点張り。仕方なく、労働審判に訴えました。あの意固地な社長のこと、本訴移行も頭をよぎりましたが、本人が上司とのやり取りを記録につけており、しっかり対応ができ、会社側がまともに返答できないことで有利に進行し、相当の解決金で和解し解決しました。

▼後日、彼女に「どうして江東区労連を選んだのですか」と聞いたら、「どこかのユニオンは『カネが取れないね〜』と嫌な対応をされた。江東区労連は『(解雇されて)今は生活をどうしているのですか』と解雇された自分の生活を心配してくれたから」とのこと。私はそんなことを話したこともすっかり忘れていたのですが、労働相談…最初の一言が大きく相手の人生に影響を与えるのだと感じ、相談に応じるときの言葉一つにも気を配らなくてはと感じさせた事例でした。

(江東区労連 中村元)