■第62回 2008/11/15

 オルグの現場から 28
       社長も被害者

ハウスクリーニング会社で働いていた労働者四人が、給料を二ヶ月に渡って払ってもらえていないということで相談にきた。話を聞くと社長が信頼を寄せていた経理担当の他社から出向してきた社員が会社の多額のお金を横領し、逃走してしまっているため、そのお金を取り戻さない限り給料を払うことができないとの社長の弁だったという。そして、社長自身もその後、行方がわからなくなってしまい、家にも寄りつかなくなり、会社も実質的に倒産となってしまっているという。▼四人から社長の実家が都内にあることを聞き、何とか社長と会って、四人の未払い賃金分にあたる労働債権の確認を得るために、実家を訪ねた。母親が出できて、息子の会社のことは知っている。みなさんにはたいへん申しわけないことをしたと述べ、息子は実家にもほとんど姿を見せず、朝から深夜まで皆さんの給料を払わなくてはと働いているとの事情が語られた。▼組合としては、二百万円近くの未払い賃金であることから、労働債権を確認してもらって「賃金の支払いの確保等に関する法律」(賃確法)に基づいて、国の立替払い制度を利用して、未払い賃金の確保に努めたい旨を伝え、社長に交渉の場に出てきてもらえるように説得してほしいとの要請を行った。▼この事件は、労働者も気の毒だか、社長も被害者でもあり、胸が痛む事件である。母親は息子(社長)のことが気にかかっているようだが、労働者の方は、やっとのことで生活しているのに、そのうえ賃金が二ヶ月も支払われていないということで、明日の生活にも途方に暮れてしまっている。なんとか、賃金を確保して希望を持たせてあげたい。

                        (新宿区労連 屋代眞)