■第60回 2008/09/15

 オルグの現場から 26
     すべての労働者のために

▼労働相談を通じて常に感じることは、なぜ日本では最低賃金や有給休暇の取得、サービス残業など、最低限の働くルールが守られていないのか、ということである。特に近年、非正規雇用が全労働者の三分の一を超えるなかで、正規も非正規も最低限の労働基準が守られていない。▼最低の労働基準を定めた労働基準法ですら守られていない労働者が多数を占めてくるなかで、既存の労働組合に組織された労働者の労働条件の改善も進んでいない。▼最低賃金の引き上げ、均等待遇の実現、有給休暇の取得の向上、残業規制など、すべての労働者を視野に入れた運動を既存の労働組合が職場・地域、産業で世論にしていく運動が求められている。こうした運動を本格的に取組むことによって、労働組合の役割が多くの労働者の中に浸透し、組合への結集が強まっていくことになるのではないか。▼労働組合の組織率の向上は、働くルールの確立とも連動し、劣悪な労働環境を正し、職場でのトラブルや問題を未然にふせぐ効果をもたらす。▼これまで既存の労働組合の考えの基本にあった組合員の利益を守るために労働組合があるという概念を、組織率が低下の一途を辿る今日、労働組合は組合員のためだけでなくすべての労働者のためにあるという考えに改める必要があるのではないか。そうでない限り、日本における働くルールの確立は組合のある限定された職場だけの労働協約等のルールとなり、全労働者へと波及していくことにはならない。▼フランスなどに見られるように組織率が低くとも労働協約の適用率が全労働者の九五%にまで及ぶという教訓をつかみ、日本における労働組合運動の質を変えていく時がきているように思う。

                               (新宿区労連 屋代眞)