■第46回 2007/06/15

  オルグの現場から K
   愚痴≠ゥら要求に変わるとき

 「残業断ってもクビにならないでしょうか」疲れた声でたずねてきたのは五五才のOさん。港区を中心に大手S不動産が所有する賃貸料一〇〇万円という超高級マンションのルームメイクをしています。◆トイレや浴室がいくつもある広いマンションを一日に五軒から七軒受け持つという激務をこなした後に夜のビル清掃を強制され、腰痛や筋肉痛に歩けなくなるほどだと言います。職場の仲間三人で組合に加盟、組織づくりを開始しました。◆三人の当初の要求は「どうしたら有利に辞められるか」。しかし打合せを重ねるうちに直接の雇用主K社が所定内労働時間を違法な週四四時間とし残業代をかすめ取っている実態が判明。入社以来違法状態で働かされ続けていたことに気づいたのです。疲れ果て愚痴しか出なかったOさんが要求を口にした瞬間でした。◆K社に限らず、清掃会社は受注額が低く抑えられているため、賃金も低いのが一般です。墨田区の中堅の清掃会社では、社員を「個人請負」に身分変更し、重くなった社会保険料の負担から逃れようとしました。地域合同労組に加盟していたYさんはこれを機会に公然化、一回の団体交渉で身分変更を阻止することが出来ました。◆超高級マンションの快適な暮らしやきれいなオフィスが違法労働や低賃金によって成り立っている不条理は、経営者も共感します。「ダブルワークや残業をしなくてもすむ賃金を払いたい」「取引先に対して法律で最低限度の賃金を規制すれば受注金額も設計できる」と、全国一律最賃制に賛同表明する経営者の姿を見て、自分たちの運動の方向と要求に確信を持つ組合員。◆愚痴から始まった一人の要求が、みんなの要求にうまれかわりました。


                    (東京労連選任オルグ 森治美)