■2006/07/15 第36回

  オルグの現場から A
     自筆¥走ハにご用心!

 AさんはK製作所(地震計の製作・販売会社)で設計を担当していた部長さん。営業政策で社長との意見対立によるいやがらせ人事に、たまらず退職願を提出したところ、@同業他社に三年間行かないことA同業他社に行くなら退職金を放棄することをつきつけられました。大学卒業以来この道一筋のAさんは追い詰められ、困惑の中でAを選択。自筆で退職金の放棄を書いて会社をやめることに。しかし奥様が退職金の返還を求めことからAさんの戦いが始まりました◆労基署などにも相談しましたが、退職金放棄の自筆書面が足かせとなり力になってもらえませんでした。あきらめきれず東京労働相談センターに相談したAさんが、「自筆書面は『脅迫』と『錯誤』により書いてしまったもので、賃金の後払いである退職金はただちに支払うこと」を求めて私を訪ねてきたのは昨年一二月の初旬でした◆会社側との交渉では@退職金放棄の自筆書面問題A同業他社問題B有給休暇を認めずカットした賃金について、AさんがAを認めれば、退職金の大部分と賃金カット分を返還するとの提案がされました。同業他社問題はAさんの件で初めて会社が出してきたもので、Aさんは死活問題として応じず、会社も退職金放棄の自筆書面は強制ではない、認めなかった有給休暇の賃金カットも有効として、交渉は決裂◆東京地裁に退職金と賃金カット分の返還を求めて申し立て、今年の五月二九日、全面勝利和解が成立。Aさんが最後まであきらめなかったことが良い結果を引き出したのだと思います。今、Aさんはいきいきと同業他社で働いています。みなさんも、自筆の書面には注意しましょう。

(東京労連専任オルグ 門川久雄)

 *すぐに役立つ元気の出る労働相談1問1答(冊子紹介)