■2005/09/15

だれでも、どんな働き方でも平等な社会を
 −「男女雇用機会均等法」の実効ある改正を−

 雇用の場での男女平等の確保をめざす私たちの願いと運動、世界の流れの中で、男女雇用機会均等法が制定されて今年で二〇年になります。
 この間、一九九七年の改正によって「募集・採用・配置・昇進」での女性に対する差別禁止が「努力義務規定」から「禁止規定」とされ、差別是正の積極的暫定的特別措置(ポジティブ・アクション)やセクシュアルハラスメントの規定が定められるなど、一定の改善・整備が図られてきました。そして来年、均等法の改正が行われます。
 来年の通常国会に提出する「改正案」作成に向け、議論が進められています。男性も女性も平等に、人間らしく働くためのルールが今こそ求められています。

縮まらない男女差別
 しかし、法律ができても男女差別の是正はこの二〇年、それほど進んでいないのが現実です。
 賃金を例に取ってみると、男女の賃金格差は、九〇年代以降、財界の「雇用流動化」政策のもと、特に女性労働者を中心に進められた正規から非正規への置き換えによってより拡大する傾向にあり、厚生労働省発表の「賃金構造基本統計調査報告」では、パート女性の賃金は正規男性労働者の四四・五%です。〇四年七月の厚労省発表の「就業形態の多様化に関する総合実態調査」では、非正規雇用で働く労働者は三四・六%で、女性に限ってみると五五・六%が非正規雇用となっていることからもわかるように、非正規労働者における女性の比率が高いことが男女の賃金格差をいっそう押し広げているといえます。さらに、大企業を中心に導入されてきた「コース別人事制度」は、主に家族的責任が大きい女性に対する賃金や昇格での差別の温床となっています。

 かつては、女性であることを理由とする差別であったものが、現在は、正規・非正規という働き方やコース別人事制度などの間接的な形での差別として存在し、女性だけでなく、若者にも広がっています。また、一九九七年に労働基準法の改正で、女性の深夜・休日労働の規制が撤廃されたことで、女性も男性なみの長時間労働になっています。さらに「働き方の多様化」を口実に政府がすすめる労働法制の改悪による働くルールの破壊は、男性にも女性にも"平等に"重くのしかかっています。

実効ある改正へとりくみを
 こうした状況について、日本政府は国際的な場で何度も厳しい批判を受けて来ました。一方、「次世代育成支援対策推進法」や「男女共同参画基本法」など政府がすすめる少子化対策でも男女ともに家庭生活と仕事との両立が重要としています。しかし、来年の改正にむけて議論をすすめている厚生労働省雇用均等分科会が今年八月一日に発表した「中間とりまとめ」の内容は「慎重な議論」が必要、と実効性ある方向での議論になっていません。今度の改正で真に実効性ある法律にするためにも、この課題を職場・地域全体での取り組みとして進めていくことが重要です。



<改正のポイント>
 改正について、全労連、連合がそれぞれ要求を出し、実効性ある改正にむけてのとりくみを進めています。その主なポイントは以下のとおりです。

 @法律の名称を「男女雇用平等法」へ
 現在の法律は女性への差別を禁止する法律となっています。これを、男女双方への差別を禁止する法律とし、名称も「男女雇用平等法」とします。また、法律の目的および基本理念として「法の下の平等を保障する日本国憲法の理念にのっとり、雇用の分野の男女平等を図るとともに、男女労働者の職業生活と家庭生活の調和を図ること」を規定します。

 A間接差別の禁止
 均等法制定から二〇年。「女性だから」ということでのあからさまな差別は減りましたが、コース別人事制度や成果業績主義、などの名目による差別。パートなど非正規で働く労働者は圧倒的に女性が多く、その結果女性の賃金が低い、など。このように、法律としては中立的であっても、結果として女性あるいは男性が不利益を受けていることを間接差別と言います。このような事を改善する規定をもうけます。

 Bセクシュアルハラスメント防止措置およびポジティブアクションの実効措置
セクシュアル・ハラスメントについては、事業主に対し、事前防止と事後の対応措置を義務づけ、男性も保護の対象とします。差別是正のための特別措置であるポジティブ・アクションについては、現行の「努力義務」から義務とします。

 C差別救済措置の強化
 政府から独立した機関を都道府県単位で新設する、事業主に差別の立証義務を負わせる、など差別の迅速な救済のための制度を確立する必要があります。全労連の要求では、あわせて現在ある都道府県労働局・均等室の権限強化もあげています。

 D使用者への制裁措置
 現行の均等法が実効性を持たないのは、違反をしても使用者への制裁措置がないから、と言われています。この状況を打開し、真に実効性ある法律とするためにも、今度の改正では法に違反した使用者への制裁規定が必要です。

 全労連はこれらのポイントをまとめたパンフレットも作成しています。それらも活用しながら取り組みを強め、実効性ある法律への改正を実現しましょう。