◆第43話 2006/11/15

          時の鐘

牢屋敷跡に移った石町時の鐘
  「時の鐘」は、江戸の生活のリズムを作っていた。木戸の閉まる時刻、役所への出仕時刻などを、人々は鐘の音で知った。
最初の鐘は、日本橋石(こく)町に作られた。

幕末には本所、上野寛永寺、浅草観音境内等、一五ヵ所あったと記されている。

ところで、江戸の「時」は現代とは異なった方法で決められていた。もし現代人が正確な時計を持参して江戸時代にタイムスリップしたら、多分、生活のリズムを狂わせるだろう。

時刻を決める「基準」は、日の出と日の入りで、これを「明け六ツ」「暮れ六ツ」と呼び、その間を六つの区分に分けて「一刻(一時)」とした。

したがって、夏と冬、昼と夜の「一刻」は同じにはならないのである。
「石町の時の鐘」は、いまは小伝馬町牢屋敷跡の十思(じっし)公園に移されている。牢で斬首の刑の行われる日には、わざと鐘を遅らせてついたという。俗に「なさけの鐘」と呼ばれるゆえんである。


(元全信労芝信従組 福田克己)