◆第39話 2006/07/15

      屋台の王様「天ぷら」

「天ぷら」は山東京伝が命名?
 
 鮨、天ぷら、そば、蒲焼が江戸の「四大ファースト・フード」だと、以前書いた。

 江戸の職人、出稼ぎ人などの胃ぶくろを手っ取り早く満たしてくれたこれらの食物の中でも、王様と呼べるのは天ぷらである。

 揚げたての天ぷらを、屋台で食べている絵図や川柳が当時を映し出す。

 てんぷらの指を
  擬宝珠へこすりつけ

 江戸前の魚を竹串に刺して揚げたあつあつの天ぷらの油を、橋の擬宝珠へこすりつけた行儀の悪さ。ニヤリとさせる。

 この人気食品、長崎から伝えられた南蛮料理で、ポルトガル語の「テンペラ(油)」が語源とされるが、江戸後期の戯作者・山東京伝(本名・岩瀬醒)が名づけたという説も、あなどりがたい。

 「天竺浪人(住所不定の浪人)がふらりと江戸へ来て売り始めたもの」だとして命名したものだという。この京伝の古びた墓が、両国・回向院の「鼠小僧次郎吉」の墓のうしろにある。


(元全信労芝信従組 福田克己)