◆第38話 2006/06/15

         「江戸前」の代表は鰻

江戸前鰻のふる里、隅田川
 
 「江戸前」とは、粋(イキ)でイナセな気風を表す言葉。「将軍様のお膝もと」と威張ってみても、千年の都・京都の「雅(みやび)」に対抗できる伝統も文化もない江戸が、苦肉の策として打ち出したのがこれだ。

 「江戸前」そのものは、「大川(隅田川)より西。お城より東」の海のことで、ここでとれる魚をさす。

 代表的な魚はコハダ、アジ、アナゴ、キスなどであるが、江戸のくらしの研究者・三田村鳶魚(えんぎょ)によると、「江戸前という言葉は鰻によって出来たのかと思われる」ほどで、「江戸前鰻」という呼び名が盛んに使われたと言う。

 江戸の生活排水でまるまる太った鰻が、お壕や河口でよくとれた。初めは丸いままブツ切りにして、クシに刺して焼いて食べていた。それがガマ(蒲)の穂に似ていたことから「蒲焼」の名がついたものだが、後に裂いて焼く食べ方になっても、その呼び名は残った。(


(元全信労芝信従組 福田克己)