◆第32話 2005/12/15

         日比谷公園

日比谷公園
 
 日比谷公園は、日本初の洋風公園として明治36年(1903)に作られたのであるが、当初、「なぜ門に扉をつけないのか。花が盗まれてしまうではないか」などの声も出たという。

 設計者は「盗む気がおきないほど、花いっぱいにすれば良い」と応じたそうで、こんな説明を読んだ私は、妙に感心してしまった。

 今の季節、公園一番の立役者は誰が何と言おうとイチョウの黄である。夕ぐれ迫る頃に、この木だけは時刻にさからって燃え立つ勢いを見せつけている。

 ひと月ほど前、公園の小音楽堂での昼休み「水曜コンサート」に出会った。終了まぎわで曲は『枯葉』『星条旗よ永遠なれ』と続き、全員合唱の『ふるさと』でしめくくった。

 さわやかな秋の陽の下で音楽を聞く機会なんて、めったにあるもんじゃないなと、少しいい気分にひたりながらも、である。『星条旗よ…』の「作曲者スーザは、人を殺せと作りしや」などと、晶子まがいのセリフが頭をかすめるのであった。

                            (元全信労芝信従組 福田克巳)