◆第24話 2005/04/15

       「万八楼」酒合戦


今の柳橋。神田川の終点だ。
  江戸がもっとも江戸らしく学芸の花を咲かせた時代を「化政期」(文化、文政期)と呼んでいる。
 文学では『東海道中膝栗毛』『浮世床』などが世に出され、浮世絵では歌麿、広重、北斎といった人々が活躍したのがこの頃だ。
 ほぼ「鬼平犯科帳」の時代で、明治まであと40年。だが、人々は酒に酔いしれて、まだ歴史の足音に気づいてはいなかった。
 江戸ではバカ食い大会や「酒合戦」などが流行した。56歳の男が饅頭50、羊かん7棹、餅30枚を食べて茶を一九杯飲んでという話が伝わる。
 「酒合戦」で有名なのは文化14年(1817)のそれで、両国柳橋の料亭「万八楼」が舞台となった。
 68歳の堺屋忠蔵が酒を9升たいらげるや、30歳の鯉屋利兵衛は、1斗9升5合を飲んでぶっ倒れたとの記録が残る。
 JR浅草橋下車。柳橋に「万八楼」を探したが、土地の古老も首をかしげるのみであった。
                            (全信労芝信従組 福田克巳)