◆第23話 2005/03/15

       「怨念・田安門


武道館入口としておなじみの田安門
  武道館の入口にそびえる田安門。徳川御三卿・田安家はここにあった。
 門の下にたたずむと、かつてここから白河藩に養子に出されたために、将軍職への道を閉ざされた老中・松平定信の怨念のうめきが聞こえてくるようだ。
 定信は「寛政の改革」の名で苛烈な緊縮政策を進めた人物である。家康、吉宗の政治を理想とし、「封建の模範生」と評される。
 彼は自分を白河藩に追い出した田沼意次を深く恨み、ついに失脚させる。彼を支えたのは、勃興する町人の経済力の成長を恐れ、阻止しようと図った幕臣らの勢力であった。
 一方の田沼は「ワイロ政治家」の権化とされてきたが、実は「田沼憎し」の定信らによる捏造が多い。
 当時高まってきた商品経済化を進め、「貿易立国」までを視野に入れていた田沼の目は、「昔」に理想像を求めた松平定信の到底及ばぬ時代観を有したものと、近年の評価は高い。

                            (全信労芝信従組 福田克巳)