◆第15話2004/07/15

         「六義園


 山の手線・駒込駅を出ると、「六義園」は目の前である。
 六義(りくぎ)とは詩や和歌の六つの形体のこと。風雅なひびきのこの庭園は、将軍綱吉の側近中の側近・柳沢吉保が造ったもので、昔は「むくさのその」と呼ばせていたようだ。

 柳沢吉保(当時・保明)は七歳の時に、館林二十五万石の城主だった綱吉に拝謁。柳沢の「気品と美貌」に目を見張った綱吉は即日、小姓を命じた。
 ここから吉保の出世街道が始まる。一説に百五十石と言われた家禄から、ついには老中首座、十五万石までまっしぐらである。

 綱吉と吉保ほど息の合った主従関係は、見当たらない。柳沢吉保が五代将軍を自邸に招くこと実に五八回。その主舞台がここ「六義園」だったのである。

 「目から鼻へぬける」頭の良さで、「何事も(将軍綱吉の)御心ゆくばかり」にはからった秀才官僚・吉保のイメージは、しかし、どうもうさんくさく、ダーティである。

                            (全信労芝信従組 福田克巳)