◆第11話2004/03/15  「江戸歌舞伎


 昔のおもかげを失った京橋の北側に、「江戸歌舞伎発祥の地」の碑が立つ。

 寛永元(1624)年、元祖猿若中村勘三郎が、中橋に『猿若中村座』の芝居櫓を上げたと記してある。

 中橋とは、日本橋と京橋の中ほどの橋の意味で、八重洲通りと中央通り(銀座通り)の交差点のあたりにあった当時の盛り場だ。

 歌舞妓(伎)のあて字は「かぶく」からきている。世の常識からはみ出した振舞い等のことである。歌舞妓の元祖「出雲のおくに」が、初めて京で歌舞妓を演じて大評判となったのは、江戸幕府成立の年(1603年)で、「どんな美人か?」と思いたくなるところだが、「よき女に非ず」とおせっかいにも記した本が残る。

 女が主役だった歌舞妓は、戦乱直後の世相不安や、出演者の色気たっぷりの演技故に、「見物客のケンカが絶えない」との理由で禁止された。「野郎歌舞伎」として復活したのは、徳川政権が安定を見た後の1653年のことである。      (全信労芝信従組 福田克巳)