◆第9話2004/01/15  「目黒のさんまと
                      目黒不動」


「(まずいので思わず)ウム…これ、この秋刀魚、何処より仕入れた?」

 「はァ、日本橋は魚河岸にございます」
 「なに、魚河岸?…それはいかん。秋刀魚は目黒にかぎる」
 ご存知の落語「目黒のさんま」のくだりである。

 少しズレた「との(殿)」の知識と、主従間のほのぼのとした会話が面白い。

 定かではないが、「との(殿)」は三代将軍家光。鷹狩りの折、立ち寄った百姓・彦四郎の茶店での出来ごとが、噺のもとだという。

 まさか、あるまい。と思っていたが、執念の探索が実を結び、彦四郎の「爺が茶屋」があったとされる「茶屋坂」(目黒区三田2丁目12〜14)にたどりついたときは、思わず頬がゆるんだ。小さな記念公園と広重の浮世絵の陶版がある。

 家光は、爺が茶屋から目黒不動までよく足を伸ばしたようだ。千二百年近い歴史のこの寺は、幕府の庇護を得て大寺になった。(全信労芝信従組 福田克巳)