◆第8話2003/12/15  「高輪・泉岳寺」

 赤穂浪士の討入りほどドラマに満ちた出来ごとはない。さすがに最近では少なくなったが、少し前までは、年末になると必ず「忠臣蔵」がテレビの主役となっていたものだ。
 もちろん、吉良邸への討入りは「義挙」であり、美談であり、上野介は高慢ちきな意地悪じじい、という設定だった。
 それまでは
 ただの寺なり泉岳寺
 「それ」以後、泉岳寺の赤穂四十七士の墓に、線香の煙の絶えたことはない。
 秋も終わりという日に訪れると、観光バスでやって来た人びとの波があり、門前のみやげ店も「討入りグッズ」でにぎやかだった。
 「義士祭俳句募集」の看板が境内に立っている。一二月一四日には町内を「義士」パレードがねり歩くそうな。
 最近、吉良上野介が領地の名君として慕われていたという姿が知られてきた。となると、本当に刀を抜かなければならなかったのか、の思いも湧いてくる。(全信労芝信従組 福田克巳)