◆第3話     「佃 島」

 銀座から、ものの5分。
 地下鉄・月島駅で降りるとそこは佃島である。植木鉢を並べた小路や古い佃煮屋が店を構えるこの街には静かな時が流れていた。
 住吉神社、朱塗りの橋、大川(隅田川)に望む二層の灯台…。堀をへだてた北側には立派な高層マンションが並ぶが、ここは、かの「火盗改方長官・鬼平」の進言でつくられた石川島人足寄場の跡地である。
 佃島は、大川の中に浮かぶ洲であった。そこに百間四方の土を盛って居住地となしたのは一六四四年(正保元年)のことである。済んだのは摂津の国(大阪)の佃村から移住した漁師たちで、品川あたりの漁師をしのぐ漁業の技を有していた。大川の白魚を将軍の食卓に供する役目を担ったのである。
 「本能寺の変」の時に、堺の町に居た家康が逃げるのを手伝った佃村漁民への恩賞として、家康が大川での白魚漁の特権を与えたものと伝えられている。
 佃の南地域は「もんじゃ焼」の月島。他の店が霞むほどの活気である。(全信労芝信従組 福田克巳)