第1話   「亀戸天満宮」

 メーデーのデモが終わったその足で、錦糸町駅からほど近い亀戸天満宮を訪れた。
 天神(雷神)様は「学問の神様」菅原道真を祭る社で全国に一万数千社あるが、寛文3(1663)年に当地に建立された亀戸天満宮は「東の太宰府」と呼ばれ、江戸一番の規模を誇った。

 東風(こち)吹かば
      匂ひおこせよ梅の花
         主なしとて 春な忘れそ

 道真公の右の歌の縁(えにし)により、天神社に梅の花はつきものだが、亀戸天神は何といっても藤の花である。

 境内いっぱいに咲く藤を見る人たちが、この日も名物の太鼓橋を渡って行った。
 この神社せ1月24、25の両日、「鷽(うそ)替え」神事が行われる。鷽という鳥を形どった木製の玩具が売られ、これによって去年の凶事がすべてウソになる、といういわれがある。

 印象派の画家モネは自邸内に日本庭園を造り、亀戸天神の太鼓橋を真似て橋を架けたと聞く。