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 東京都震災予防条例
                  昭和46年10月23日
                  条例第121号
  東京都震災予防条例を公布する。
   東京都震災予防条例
目次
  前文
  第1章 総則
   第1節 定義(第1条)
   第2節 知事の責務(第2条−第8条)
   第3節 区市町村の責務(第9条・第10条)
   第4節 都民の責務(第11条・第12条)
   第5節 事業者の責務(第13条−第15条)
  第2章 防災都市計画(第16条−第19条)
  第3章 破壊の防止
   第1節 耐震性の強化(第20条−第26条)
   第2節 宅地造成地における震災の防止(第27条−第28条)
   第3節 地盤沈下の防止(第29条)
  第4章 火災等の防止
   第1節 出火の防止(第30条−第32条)
   第2節 火災の拡大の防止(第33条−第36条)
  第5章 避難(第37条−第42条)
  第6章 情報連絡体制(第43条・第44条)
  第7章 都民の協力
   第1節 防災組織(第45条−第47条)
   第2節 防災教育(第48条)
   第3節 防災訓練(第49条・第50条)
   第4節 都民の意見(第51条・第52条)
  第8章 委任(第53条)
  附則
  東京は、都市の安全性を欠いたまま都市形成が行なわれたため、その都市構造は地霹災害等に対するもろさを内包している。
  東京を地震による災害から守るためには、必要な措置を急がなければならない。
  いうまでもなく、地震は自然現象であるが、地震による災害の多くは人災であるといえる。したがつて、人間の英知と技術と努力により、地震による災害を未然に防止し、被害を最少限にくいとめることができるはずである。
  この条例は、その英知と勇気を導くための都民と都の決意の表明であり、都民と都が一体となつて東京を地震による災害から守るための合意を示すものである。

   第1章 総則
     第1節 定義 (定義)
第1条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
  1 危険地域 地震の発生による建築物その他の工作物の倒壊又は火災、水害若しくはその他の災害により、著しい被害が発生するおそれのある地域として知事が指定する地域をいう。
  2 特別危険区域 危険地域内にあつて、特に著しい被害が発生するおそれのある区域で、区域住民の安全の確保及び周辺住民の避難のため開発する区域として知事が指定する区域をいう。
  3 避難場所 危険地域及びその他の地域にあつて、住民が避難することができる安全な場所として知事が指定する場所をいう。
  4 避難道路 危険地域及びその他の地域にあつて、住民を避難場所へ安全に避難させる道路として知事が指定する道路をいう。

    第2節 知事の責務 (基本的責務)
第2条 知事は、あらゆる施策を通じて、都民の生命、身体及び財産を地震による災害(以下「震災」という。)から保護し、その安全を確保するため、最大の努力を払わなければならない。
2 前項の目的を達成するため、知事は、震災予防に関する計画を作成し、その推進を図らなければならない。
(調査、研究及び技術の開発)
第3条 知事は、震災の発生原因、発生状況その他震災に関する事項について、科学的、総合的に調査及び研究を行なうとともに、防災科学技術の開発に努めなければならない。
2 知事は、前項の調査、研究及び技術の開発の成果を都民に公表しなければならない。
(都市施設等の整備)
第何条 知事は、震災を予防し、その拡大を防止するため、都市施設(都市計画法(昭和43年法律第100号)第11条に定めるものをいう。)の耐震性及び耐火性の保持、避難場所及び避難道路の確保等諸施設の整備に努めなければならない。
(火災の防止)
第5条 知事は、地震による火災の発生及びその拡大を防止するため必要な施策を積極的に推進しなければならない。
(都民に対する指導及び助言)
第6条 知事は、震災の防止に関する事業(以下「防災事業」という。)の計画及び実施にあたつては、都民の協力を求めるとともに、都民が行なう震災を防止するための自主的活動に対し、積極的に指導及び助言を行なわなければならない。
(区市町村に対する総合調整)
第7条 知事は、特別区及び市町村(以下「区市町村」という。)が処理する防災事業の実施を助け、その総合調整を行なわなければならない。
(他の地方公共団体等との協力)
第入条 知事は、防災事業の計画及び突施にあたり、他の地方公共団体その他の公共的団体等の協力が必要であると認めるときは、当該団体等に対して協力を要請し、又は他の地方公共団体から協力の要請があつたときは、これに応じなければならない。

     第3節 区市町村の責務 (基本的責務)
第9条 区市町村は、地域住民の生命、身体及び財産を震災から保護し、その安全の確保に努め、知事の実施する防災事業に協力するとともに、地域の開発にあたつては、防災について配慮しなければならない。
(防災意識の高揚)
第10条 区市町村は、計画的に防災教育及び防災訓練を実施するとともに、住民の自発的な防災組織の育成を図り、住民の防災意識の高揚に努めなければならない。

     第4節 都民の責務 (基本的責務)
第11条 都民は、震災を防止するため、相互に協力するとともに、知事及び区市町村が行なう防災事業に協力し、都民全体の生命、身体及び財産め安全の確保に努めなければならない。
(耐震性等の配慮)
第12条 都民は、建築物その他の工作物を建設するときは、震災を防止するため、耐震性及び耐火性について配慮しなければならない。

    第5節 事業者の責務 (基本的責務)
第13条 事業者は、知事その他の行政機関が実施する防災事業に協力せるとともに、事業活動にあたつては、その社会的責任を自覚し、震災を防止するため最大の努力を払わなければならない。
(事業所防災計画の作成)
第14条 事業者は、東京都及び区市町村が作成する地域防災計画を基準として、事業所単位の防災計画を作成し、従業員及び周辺住民の安全の確保に努めなければならない。
(防災計画の届出)
第15条 都市ガス、電気その他防災上危険な施設として知事が指定する施設を管理する事業者は、前条に規定する防災計画を作成tたときは、知事に届け出なければならない。
   第2章 防災都市計画 (都市計画事業の実施)
第16条 知事は、都市計画事業を実施するときは、都市計画法に窪めるもののほか、震災の防止について、特に配慮しなければならない。
(地域危険度の測定)
第17条 知事は、おおむね5年ごとに、地震に関する地域の危険度を科学的に測定し、その結果を都民に公表しなければならない。
(危険地域)
第18条 知事は、東京都規則で定めるところにより、危険地域を指定したときは、別に定めるところによりその地域内における建築物その他の工作物について必要な規制を行なうことができる。この場合において、知事は、必要な助成をすることができる。
(特別危険区域)
第19条 知事は、特別危険区域を指定したときは、その区域何において、積極的に建築物その他の工作物の不燃化、広場の確保等必要な事業を推進しなければならない。

    第3章 破壊の防止
     第1節 耐震他の強化 (一般建築物)
第20条 知事は、一般建築物(次条に規定する特殊建築物以外の建築物をいう。)の耐震性及び耐火性を確保するため、適切な行政指樽を行なうとともに、防災上の相談に応じ、必要と認めるときは、耐震性の診断を行なわなければならない。
(特殊建築物等)
第21条 知事は、特殊建築物(建築基準法(昭和25年法律第201号)に規定する特殊建築物をいう。)及び地下街(消防法(昭和23年法律第186号)に規定する地下街をいう。)の耐震性及び耐火性を確保するため、特に指定するものについて、定期的に検査を行ない、若しくは当事者をして行なわせ、又は必要があると認めるときは、当該建築物の改善について助言し、若しくは勧告することができる。
(指定重要建築物)
第22条 知事は、次の各号に掲げる防災上特に重要な建築物について、耐震性及び耐火性の強化に努め、又は当事者をして努めさせなければならない。
  1 震災時に消火、避難誘導及び情報伝達等の防災業務の中心となる消防署、警察署その他の官公庁建築物
  2 震災時に緊急の救護所又は被災者の一時収容施設となる病院、学校その他これらに準ずる建築物
(公共施設)
第23条 知事は、その管理する道路、公園、堤防、鉄道その他町公共施設の耐震性敷び耐火性を強化するとともに、定期的に検査を行ない、その安全の確保に努めなければならない。
(地下埋設物)
第24条 電気、ガス、上下水道その他防災上重要な地下埋設物の管理者は、当該地下埋設物の安全の確保に努めなければならない。
2 知事は、地下埋設物について必要があるときは、共同溝の設置に努めなければならない。この場合において、知事は、特に耐震性について配慮しなければならない。
(落下物の安全性)
第25条 知事は、地震により破損落下し、人の生命及び身体に被害を首えるおそれのある中高層建築物の窓ガラス等の安全性について、調査し、研究し、並びに防災上安全な基準を定めるように努めなければならない。
(強震計の設置)
第26条 知事は、耐震性の調査及び研究に資するため、特に必要と認める工作物について、強震計を設置しなければならない。

    第2節 宅地造成地における震災の防止 (宅地造成地の安全性)
第27条 知事は、宅地造成地の地震に対する安全性について、調査し、研究し、及び防災上安全な基準を定めるように努めなければならない。
  (宅地造成地の検査)
第28条 知事は、地震に対して特に危険な宅地造成地については、宅地造成等規制法(昭和36年法律第191号)の定めるところにより検査し、必要があると認めるときは、その改善について、助言し、勧告し又は命ずることができる。
   第3節 地盤沈下の防止 (地下用水汲上げの防止)
第29条 知事は、地盤沈下に超因する震災を防止するため、工業用水道の建設を促進するとともに、東京都公害防止条例(昭和44年東京都条例第97号)の定めるところにより、地下用水の汲上げの防止に努めなければならない。

    第4章 火災等の防止
     第1節 出火の防止 (建築物の不然化)
第30条 知事は、地震による出火を防止するため、住宅その他の 建築物の不燃化に努めなければならない。
2 知事は、東京都住宅延設資金貸付条例(昭和41年東京都条例第43号)の定めるところにより、木造共同住宅の所有者が 当該住宅を不燃化構造のものに建て替えるときは、これに対する資金の貸付けについて特に配慮しなければならない。 3 消防法第9条の3に規定する可燃性物質及びこれに類するものを取り扱ぅ事業者は、その取り扱ぅ施設の不燃化に努めなければならない。
(火気器具の規制)
第31条 知事及び市町村は、地震時に出火の危険性の高い設備及び器具の安全性について、技術の開発に努めるとともに、その使用及び砺扱いについて、火災予防条例(昭和37年東京都条例第65号)及び市町村の火災予防条例の定めるところにより必要な規制を行なわなければならない。
(初期消火)
第32条 都民は、火気を使用するときは、出火を防止するため 常時監視するとともに、地震時の出火に備え、消火器罫を配備し、初期消火に努めなければならない。
2 区市町村は、地域に消火器等を覿傭することに努めなければならない。
3 前2項の場合において、知事は、必要な助成をすることができる。

    節2節 火災の拡大の防止 (消防力の強化)
攣2十3条 知事は、地震による火災の拡大を防止するため、消防 水利の確保その他消防力の強化に努めなければならない。
2 知事は、その管理する公共施穀及び特殊建築物を整備するときは、防火水槽又はこれに類する施設の設置に努めなければならない。
(防災空地の確保)
第34条 区市町村は、火災の拡大を防止するため、防災空地を確保するように努めなければならない。
2 前項の場合において、知事は、これに要する資金を貸し付けるため、防災空地基金を設置することができる。
(危険物の安全性)
第35条 知事は、消防法第2条範7項に親愛する危愉物、高圧 ガスその他これらに類する危険物(以下「危険物」という。)を取り扱ぅ施設の安全性について、調査し、研究し、及び防災上安全な基準を淀めるように努めなければならない。
(有害物の安全性)
第36条 知事は、毒物、劇物、細菌性物質、放射性物質その他これらに類する有害物を取り扱ぅ施設の安全性について、調査し、研究し、及び防災上安全な基準を定めるように努めなければならない。

    第5章 避難 (避難場所の確保)
第37条 知事は、震災の発生時に都民を安全に保護するため必要な避難場所の確保に努めなければならない。
2 知事は、避難場所を指定したときは、救助活動を円滑に行なぅため必要な給水施設及び備蓄のための施設の整備に努めなければならない。
3 知事は、公営住宅(改良住宅を含む。)を建設するときは、広場の確保に留意し、その防災機能の充実に努めなければならない。
(避難道路の確保)
第38条 知事は、震災の発生時に都民を避難場所に安全に避難させるため必要な道路の確保に努めなければならない。
(災害防止帯)
第39条 知事は、避難場所及び避難道路について特に必要と認めるときは、その周辺を災害防止帯として指定し、建築物その他の工作物について必要な規制を行なぅことができる。この場合において、知事は、必要な助成をすることができる。
(災害応急体制の整備)
第40条 知事及び区市町村は、震災の発生時における避難及び救護を円滑に行なぅため必要な体制の確立及び資器材の整備に努めなければならない。
(避難誘導方法の確立)
第41条 知事及び区市町村は、震災の発生に備え、あらかじめ避難誘導の方法を確立しておかなければならない。
(自動車による避鵜の禁止)
第42条 都民は、震災の発生時に避難するときは、路上の混乱と危険を防止するため、自動車を使用してはならない。
2 震災発生時に走行中の自動車の運転者は、当該時に行なわれる交通規制を遵守しなければならない。

   第6章 情報連絡体制 (情報連絡体制の整備)
第43条 知事は、震災の発生に備え、情報適格体制を整備するとともに、震災に関する的確な情報を都民に周知させる方法を論じなければならない。
(他団体への協力要請の方法)
第44条 知事は、震災の発生に備え、震災に関する情報の収集及び伝達に必要な他団体への協力要請の方法をあらかじめ碓立しておかなければならない。

    第7章 都民の協力
     第1節 防災組織 (防災市民組織)
第45条 知事は、区市町村が行なぅ地域の自発的な防災市民組織の育成に対し、指導及び助言を行ない、その充実に努めなければならない。
2 知事は、区市町村に対し、防災市民組織の活動について必変な助成をすることができる。
(施設の防災組織)
第46条 消防法第8条に規定する防火管理者及び同法第8条の2に規定する管埋の権原を有する者は、当該施設の防災組織の育成に努めなければならない。
(業域別の防災組織)
第47条 危険物、毒物、劇物、火薬類その他これらに類する物を取り扱ぅ施設又は設備を管理する者は、業種別の防災組織の組織化に努めなければならない。

     第2節 防災教育 (防災教育)
第48条 知事は、前節に規定する防災組織(以下「防災組織」という。)を通じて防災教育を実施し、又は区市町村が防災組織を通じて行なぅ防災教育を助け、防災思想の普及に努めなければならない。

     第3節 防災訓練 (防災訓練の実施)
第49条 都民は、知事及び区市町村が行なう防災訓練に積極的に参加しなければならない。
2 前項に規定する防災訓練に参加した都民が、当該防災訓練により死亡し、又は傷害を受けたときの補償については、特別区の消防団員等の公務災害補償に関する条例(昭和41年東京都条例第84号)の例による。
(防災組織の訓練)
第50条 防災組織の責任者は、震災の発生に備え、防災訓練を実施しなければならない。
2 前項に規定する防災訓練を実施するときは、初期消火訓練及び避難訓練について特に配慮しなければならない。

     第4節 都民の意見 (防災に対する都民の意見)
第51条 知事は、特別危険区域の計画及びその実施並びに避難場所の指定にあたつては、都民の意見を聞くことに努めなければならない。
2 知事は、前項の規定により都民の意見を聞いたときは、これを施策に反映するよぅに努めなければならない。
(都民等による監視)
第52条 都民又は防災組織は、地域の安全性について常に監視し、地震に対して危険性のあるものについて知事に意見を述べることができる。

   第8章 委任 (委任)
節55条 第18条に定めるもののほか、この条例の施行について必要な事項は、知事が定める。

   附 則

この条例は、公布の日から施行する。
………………………………………………………………………………………………………
東京都震災予防条例施行規則                   昭和47年4月1日
                      規則第85号
  東京都震災予防条例施行規則を公布する。
   東京都震災予防条例施行規則

(趣旨)
第1条 この規則は、東京都震災予防条例(昭和46年東京都条例第121号。以下「条例」という。)の施行について必要な事項を定めるものとする。
(事業所単位の防災計画に規定すベき事項)
第2条 条例第14条の規定に基づき事業者が作成する事業所単位の防災計画に規定すべき事項については、東京消防庁消防長(以下「消防長」という。)が別に定める。
(防災計画を届け出なければならない施設)
第3条 条例第15条に規定する知事が指定する施設については、消防長が別に定める。
(防災計画の届出)
第4条 条例第15条の規定による届出をしようとする事業者は、消防長が別に定める様式に従い、届出書を所轄の消防署長を経由して消防長に提出しなければならない。
2 前項の届出書の提出部数は、正副各1部とする。
3 前2項に定めるもののほか、届出に関し必要な事項は、消防長が定める。
(強震計を設置する工作物)
第5条 知事は、条例第26条の規定に基づき次に掲げる工作物のうち特に必要と認めるものに、強振計を設置するものとする。
  この場合において、知事は、地盤の性質、工作物の構造及び用途並びに強振計の地域的分布を考慮してしなければならない。
  1 公立学校
  2 公営共同住宅
  3 庁舎及び公会堂
  4 橋及び鉄道
  5 ダム、堤防及び水門
  6 岸壁及びさん橋
(避難場所)
第6条 条例第37条第1項に規定する避雑場所は、次に掲げる条件を満たしていなければならない。
  1 周辺の市街地構成の状況から大震火災時のふく射熱に対して安全な面積を有する場所であること。
  2 避難場所の内部において震災時に避雑者の安全性を著しくそこなうおそれのある施設が存在しないこと。
(避難道路)
第7条 条例第38条に規定する避難道路は、避難場所と当該避難場所に避難しなければならない人の居住地との距離が長く、又 は火災による延腕の危険性が著しく、自由に避難することが困難な地域について指定するものとする。
2 前項に指定する避難道路は、幅員15メートル以上のものとする。
(避難場所及び避難道路の指定)
第8条 知事は、避難場所及び避難道路を指定したときは、すみやかに告示しなければならない。
(防災訓練の範囲)
第9条 条例第49条第1項に規定する防災訓練は、次に掲げるものとする。
  1 東京都又は区市町村が主催するもの
  2 警視庁又は警察署が主催するもの
  3 東京消防庁、市町村消防本部又は消防署が主催するもの
    附 則
  この規則は、公布の日から施行する。